鉄骨系の大空間住宅|特徴と該当2社

このグループは鉄骨造で大スパン・大開口に対応し、工場生産による品質管理と各社の保証・点検体制を重視するグループです。鋼材は木材より単位断面あたりの強度が高く、柱・梁の断面を抑えながら大きなスパンを取りやすい特徴があります(実際に何mまで取れるかは構造方式・部材・設計条件によります)。なお本メディアの掲載2社は、積水ハウスが軽量鉄骨(ダイナミックフレーム・システム)、ヘーベルハウスが重量鉄骨のラーメン構造やハイパワード制震ALC構造というように、鋼材の種別も構造形式も異なります。工場生産による品質管理を組み合わせている点が各社に共通しています。複数の地域に展示場・地域会社網を持つハウスメーカーで構成されるグループであり、居住エリアが変わっても同一ブランドの窓口で相談できる体制を掲げる会社が多いのも特徴です。(タイプ名は本メディア独自の呼称であり、業界共通の分類ではありません)

このタイプの要点

  • 採用構法は各社で異なる。積水ハウスは軽量鉄骨のダイナミックフレーム・システム(C形鋼を背中合わせに接合した構造柱と梁にブレースを組み合わせ、水平荷重をブレースが負担する構造)、ヘーベルハウスは重鉄・システムラーメン構造やハイパワード制震ALC構造など商品・階数によって異なる構造を採用している。いずれも各社が設計ルール上必要としているブレースや制震フレームを用いており、これらを一切用いない構法ではない。
  • 積水ハウスは1階最大スパン7,000mm・天井高2,700mm、2階最大8mスパン、2階天井部分に最大8m幅の小屋吹き抜け空間※1、ヘーベルハウスは「仕切りのないワンフロア大空間」※2を、それぞれ鉄骨造ならではの大空間・大開口の仕様として公式サイトに掲載している(2026年9月確認。ヘーベルハウス側は開口幅・スパンの数値を公表していない)。
  • 本メディアでは2社を紹介:積水ハウス・ヘーベルハウス。
  • 主要部材を工場で生産する体制をとっており、現場加工の比率が低い点が特徴。ただし対応エリア・商品・仕様条件は各社で異なるため、希望地で検討できる商品は個別に確認する必要がある(積水ハウスは商品により販売地域が異なる場合があり、ヘーベルハウスは公式サイトの住宅展示場一覧に掲載がある都府県が一部にとどまる。いずれも2026年9月時点。各社の詳細は掲載7社の一覧を参照)。
  • 2社とも制震パネル・制震ダンパーなどの制震技術を公式サイトに掲載している。制震は地震のエネルギーを吸収して揺れを抑える技術で、大空間化で失った耐震性を補うものではない(耐震性は構造計算によって確保される)。

このタイプが向いているケース

このグループは、以下のような希望・条件を持つ読者の候補になります。

  1. 鉄骨造の部材強度をいかして大空間をつくりたい:柱・壁の少ないワンフロア大空間や、大開口の窓を組み合わせたLDKを希望する場合。木造より柱の間隔を大きく取りやすい鉄骨造の特性が生かせる場面です。木の温かみより、大きな窓からの採光や見通しの良さを優先したい読者に向いています。
  2. 広い範囲に拠点がある会社で検討したい:居住エリアが変わる可能性があり、拠点網の広さも判断材料にしたい場合。ただし対応エリア・商品・仕様条件は各社で異なります(積水ハウスは商品により販売地域が異なる場合があり、ヘーベルハウスは公式サイトの住宅展示場一覧に掲載がある都府県が一部にとどまります。いずれも2026年9月時点。内訳は詳細ページに掲載)。
  3. 工場生産による性能の安定を重視する:現場作業中心の在来工法より、工場内での加工・組立比率が高い生産体制による仕上がりの均質性を重視する場合。天候に左右されにくい工程で、設計値どおりの性能を安定して得たい読者に向いています。
  4. 長期のアフターサービス体制を判断材料にしたい:各社が公式サイトに掲載している保証・点検の制度(対象・期間・条件は各社の規定によります。詳細は各社公式サイトをご確認ください)や、企業としての事業継続性を、工務店との比較材料にしたい場合。建て替え後も長く付き合える企業規模を重視する読者の判断材料になります。

鉄骨造の構造形式と、掲載2社の採用構法

鉄骨造の構造形式には、柱・梁を剛接合するラーメン構造、ブレース(筋かい)で水平力を負担するブレース構造、工場生産のボックスを積み上げるユニット工法などがあります(ユニット工法は掲載2社では採用されていません)。本メディアの掲載2社のうち、積水ハウスのダイナミックフレーム・システムは軽量鉄骨のC形鋼を背中合わせに接合した構造柱と梁にブレースを組み合わせ、水平荷重をブレースが負担する構造※1、ヘーベルハウスは重量鉄骨のラーメン構造などを商品・階数に応じて採用しています。以下では各形式の技術的特徴を整理します。

鉄骨ラーメン構造|柱・梁の剛接合による大空間の実現

ラーメン構造は、柱と梁を溶接や高力ボルトで一体化させ、接合部が水平方向の力を受けても回転・変形しない「剛接合」にすることで、大きな商業施設やオフィスビルにも用いられる大きな架構を形成する構造です※2。在来木造が筋交いや耐力壁で水平力に抵抗するのに対し、ラーメン構造は柱・梁の接合部でも水平力を負担できるため、耐力壁の配置の制約が緩和され、窓や扉の位置や広い空間を確保しやすくなります。ヘーベルハウスの「重鉄・システムラーメン構造」は、この柱・梁を強固に接合する考え方を住宅用に応用した構法です(積水ハウスのダイナミックフレーム・システムは、水平力をブレースが負担する構造で、ラーメン構造とは異なります)。鋼材は木材や鉄筋コンクリートに比べて単位断面あたりの強度が高いため、同じ強度を得るための柱・梁の断面を小さく抑えながら、大きなスパンを飛ばせる点が木造との違いです。

鉄骨ユニット工法|ボックスラーメン構造と工場生産の組み合わせ

鉄骨ユニット工法は、柱と梁を溶接して一体化した箱型のユニット(ボックスラーメン構造)を工場で生産し、現場ではクレーンで積み重ねて組み上げる工法です※3。ラーメン構造がその場で柱・梁を組み立てるのに対し、ユニット工法はあらかじめ工場で完成させたボックスを現場に搬入する点が異なります。柱と梁のみの箱で建物を支えるため、壁や中間柱のない大空間をつくりやすく、筋交いを必要としないため大きな窓も設けやすくなります。また工程の大部分を屋根のある工場内で行うため、現場での風雨による部材の劣化・歪みを避けやすく、設計値どおりの性能を安定させやすい点も、ユニット工法の技術的な特徴です。

大空間にしても耐震性を確保するための工夫

柱や壁を減らして大空間をつくると、地震の水平力を受け止める要素がその分だけ減ります。鉄骨系の2社は、この不足を「柱を減らしても水平力を負担できる骨組みの組み方」と「揺れそのものを小さくする制震部材」の2つで補う考え方をとっています。制震は地震のエネルギーを吸収して揺れを小さくする技術で、減った耐力壁の代わりになるものではありません。必要な耐震性能は構造計算によって確認されます。

積水ハウスは、日常的な鉛直荷重をC形鋼の構造柱が、地震などの水平荷重をブレースが負担するという役割分担で骨組みを構成しています。梁の断面を確保することで1階で最大7mのスパンを飛ばしつつ、ブレースを前後左右どの方向の力にも抵抗できるように配置する考え方で、設計ルール上必要な条件を満たせば大空間や吹き抜けも設定できるとしています※1。これに制震構造「シーカス」を組み合わせ、K形に組み込んだシーカスダンパーを配置することで、地震時の建物の変形量を同社の耐震構造と比較して1/2以下に抑えるとしています(軽量鉄骨のみ)。最大速度90カイン相当の大地震波を3回繰り返す実大実験も公開しており、入力エネルギーは兵庫県南部地震の約1.7倍としています※4。

ヘーベルハウスは、重鉄・システムラーメン構造で柱と梁をインナーボルト形式の特殊な高力ボルトで強固に接合し、仕切りのないワンフロア大空間に対応するとしています。1〜2階建てのハイパワード制震ALC構造では、制震フレーム「ハイパワードクロス」に加えて通し柱を必要としない「梁勝ち構法」を採用しており、上下階で柱の位置をそろえる制約を受けずに間取りを構成できる点を特徴として挙げています。揺れへの備えとしては、粘り強く変形する特殊鋼材「極低降伏点鋼」が地震エネルギーを吸収して熱に変える仕組みと、梁が左右にスライドする動きにピストンが追随するオイルダンパー「サイレス」を組み合わせ、中地震にも反応するとしています。震度7相当の大地震を23回連続で加震する実大振動実験も公開しています※5。

なお制度上も、鉄骨造は木造2階建てのような仕様規定(壁量計算など)による設計の対象外で、構造計算による確認が求められる区分に位置づけられています※6。大空間の可否は各社の構法だけで決まるものではなく、この構造計算を通して個別に確認されます。

工場生産による品質の安定と、展示場・地域会社網

このタイプの各社に共通する特徴として、主要部材を工場であらかじめ製造し、現場では組み立て・接合を中心に行う生産体制も挙げられます。現場での加工比率が高い在来工法に比べ、天候や職人の技量による仕上がりのばらつきを抑えやすいとされています(工場生産であること自体が性能を保証するものではありません)。ただし対応エリア・商品・仕様条件は各社で異なるため、希望地で検討できる商品は個別の確認が必要です。この点が地域工務店との違いです。積水ハウス・ヘーベルハウスも展示場・地域会社網を各地に展開しており、居住エリアが変わっても同一ブランドの窓口で相談できる体制を掲載しています(対応可否・商品ラインアップはエリアによって異なります)。鉄骨造の部材強度と工場生産による品質管理を組み合わせて大スパン・大開口に対応している点が、このタイプの技術的な共通項です。

このタイプの該当2社

本メディアでは2社を鉄骨系に分類しています。各社の詳細ページでは、対応エリア・大空間の実現手段・各社が公式サイトに掲載している建築実例を、より詳しく紹介しています。

※本メディアは、大空間・大開口を訴求する住宅を手がける全国のハウスメーカー・工務店を対象に、各社公式サイトの公開情報をもとに調査し、大空間の構法と実現手段を公式サイトで具体的に公開していることを条件に7社を掲載しています(調査時期:2026年7月~9月)。本ページはそのうち、鉄骨造を主構造とする2社を「鉄骨系」として分類したものです。

積水ハウス

軽量鉄骨の商品で独自の「ダイナミックフレーム・システム」を採用しています。C形鋼を背中合わせに接合した構造柱と梁にブレースを組み合わせた構造で、1階で最大スパン7000mm・天井高2700mm、2階で最大8mスパンを公式サイトに掲載しています(あわせて2階天井部分に最大8m幅の小屋吹き抜け空間が可能とも掲載されており、「2階のスパン」と「小屋吹き抜け」は別の記載です)※1。全国約350カ所の住宅展示場・ショールームを展開しており(2026年9月時点)※2、ダイナミックフレーム・システムを採用した商品ラインの一つ「イズ・ロイエ」では大空間・大開口を軸にした邸宅型の提案も展開しています(商品体系上の位置づけは公式サイトの商品ラインアップをご確認ください)。

ヘーベルハウス

商品・階数に応じて「重鉄・システムラーメン構造」「ハイパワード制震ALC構造」を使い分けているほか、2階建て邸宅専用の「RATIUS|RD」では重鉄制震・デュアルテックラーメン構造を採用しています。重鉄・システムラーメン構造では、突起物が梁に表出しないインナーボルト形式の特殊な高力ボルトで柱と梁を強固に接合し、仕切りのないワンフロア大空間に対応するとしています※3。外壁には独自のALCコンクリート「ヘーベル」を採用しています。

よくある質問(FAQ)

本タイプに関する質問を3問にまとめました。

このタイプはどんな人に向いていますか?

鉄骨造の部材強度をいかした大スパン・大開口と、工場生産による品質管理体制、各社が公式サイトに掲載している保証・点検の制度を重視する読者に向いているタイプです。ただし対応エリア・商品・仕様条件は各社で異なります。積水ハウスは商品により販売地域が異なる場合があり、ヘーベルハウスは公式サイトの住宅展示場一覧に掲載がある都府県が関東・東海・関西・西日本の一部にとどまります(いずれも2026年9月時点。都府県の内訳は本メディアのヘーベルハウス詳細ページに掲載)。希望地で検討できる商品は個別に確認が必要です。

鉄骨造で実現できる大空間の広さの目安はどれくらいですか?

各社の公式サイトには、柱の少ない大空間LDKの仕様が掲載されています。積水ハウスは1階最大スパン7,000mm・天井高2,700mm、2階最大8mスパン※1、ヘーベルハウスは「仕切りのないワンフロア大空間」※2を掲載しています(開口幅・スパンの数値は公表されていません)。構造形式により実現方法は異なり、積水ハウスはブレースが水平力を負担する構造、ヘーベルハウスは重量鉄骨のラーメン構造などを採用しています。いずれも各社が設計ルール上必要としているブレースや制震フレームを用いたうえで大空間に対応しており、これらを一切用いない構法ではありません。

このタイプに該当する会社は何社ですか?

本メディアでは2社(積水ハウス・ヘーベルハウス)を鉄骨系に分類しています。並び順は会社名の五十音順で固定しており、序列や推薦を示すものではありません。

他のタイプや基礎知識ページで比較検討が進められます。木造・鉄骨・在来系など、構法の違いによる特徴を横断的に確認できます。