大手木造フレーム系の大空間住宅|特徴と該当2社

独自開発の木造構法で木造の大空間を実現し、長期の保証・アフター体制を重視するタイプを、本メディアでは大手木造フレーム系として整理しています(業界共通の分類ではありません)。

本メディアでピックアップしている2社の構法は、木質ラーメン構造(住友林業BF構法)と面構造(三井ホームのプレミアム・モノコック構法)というように抵抗の原理が異なります。一方で、住友林業のBF構法(ビッグフレーム構法)や三井ホームのプレミアム・モノコック構法+Gフレーム構法のように、大手ハウスメーカーが自社開発した構造技術を用いる点は共通しています。一般的な木造軸組工法が筋交いや耐力壁の配置で耐力を確保するのに対し、BF構法は太い柱(ビッグコラム)と梁の剛接合によるラーメン躯体で、プレミアム・モノコック構法は床・壁・天井のパネルを面で一体化することで、それぞれ異なる仕組みで柱の少ない大空間・大開口の設計自由度を確保しています。あわせて、全国規模の住宅展示場網、長期保証・定期点検といったアフターサービス体制を備えている点も、独立系の工務店・設計事務所との違いとして押さえておきたいポイントです。

このタイプの要点

  • 採用構法は各社独自開発の木造フレーム構法。住友林業は「BF構法(ビッグフレーム構法)」、三井ホームは「プレミアム・モノコック構法」と大開口技術「Gフレーム構法」を組み合わせた構法を、それぞれ公式サイトに掲載している。
  • 柱・梁を金物で強固に接合するラーメン構造や、床・壁・天井を面で一体化するモノコック構造により、木造でありながら柱の少ない大空間・大開口に対応するとされる設計原理を採用している。
  • いずれも全国規模で展示場・エリアサイトを展開し、長期保証・定期点検などのアフター体制を公式サイトに掲載している(保証年数・対象範囲・延長に必要な有料メンテナンスの条件は各社・各商品で異なります。詳細は各社公式サイトの保証・アフターサービスページをご確認ください。また全都道府県で同一の対応が受けられるとは限らないため、希望地の施工可否は要確認)。

このタイプが向いているケース

このタイプは、以下のような希望・条件を持つ読者の候補になります。

  1. 木質感を保ちながら大空間・大開口を実現したい:構造材に木を選びたいという希望があり、30畳前後のLDKや天井高のあるリビング、壁一面の大開口を希望する場合。独自構法により、柱の少ない間取りを木造のまま計画しやすい点が候補になる理由です(在来軸組工法でも構造計算と設計の工夫によって大空間は成立するため、在来木造では実現できないという意味ではありません)。
  2. 長期の保証・アフター体制を重視する:長期保証・定期点検の制度と、その適用条件まで含めて確認したい場合(保証年数だけでなく、必要となる有料メンテナンス工事などの条件も比較の対象になります)。
  3. 独自構法の技術的な裏付けを判断材料にしたい:公開されている構造実験の結果や、各商品で構造安全性をどの方法(仕様規定/許容応力度計算など)で確認するのかを、単なる謳い文句ではなく数値・実験結果として確認したい場合。
  4. 展示場・モデルハウスで比較検討したい:全国規模で展開する展示場やモデルハウスを訪れて、実際の大空間仕様・素材・開口部の質感を自分の目で確認したい場合。

採用構法の技術的特徴

住友林業・三井ホームは、それぞれ独自の木造構法を開発している点が共通しています。ただし抵抗の原理は異なり、住友林業のBF構法は大断面集成材と剛接合による木質梁勝ちラーメン構造、三井ホームのプレミアム・モノコック構法は床・壁・天井を面で一体化する面構造です(三井ホームは大開口には木質ラーメン構造のGフレームを組み合わせます)。いずれも自社の技術研究所・開発部門で開発した木造技術を土台にしており、実大モデルなどを用いた構造実験の結果を公式サイトで公開している点も共通の背景です。なお構造安全性をどの方法で確認するかは各社・各商品で異なるため、どの計算方法を用いるかは契約前の仕様書で確認する項目です。

柱・梁を強化するラーメン構造とパネルを面で接合するモノコック構造

住友林業のBF構法公式解説ページによると、BF構法は幅560mmの大断面集成柱「ビッグコラム」を用いた「木質梁勝ちラーメン構造」です。一般的な柱(105mm角)の約5倍の幅を持つビッグコラムを、独自の「BFジョイント金物」による金物相互の直接接合(メタルタッチ接合)で、柱と梁・基礎を一体化する構造です※1。梁を優先する「梁勝ち」構造のため、上下階で柱の位置をそろえる必要がなく、通し柱の制約を受けにくい間取りが可能です※1。

一方、三井ホームのプレミアム・モノコック構法では、DSP(ダブルシールドパネル)・BSW(ブロック・アンド・シームレスウォール)・TF(トラスフロア)・MS(マットスラブ)という独自パネル技術を組み合わせ、床・壁・天井を面で接合して建物全体を一体化する構造を採用しています※2。加えて大開口部分には、Gフレーム構法の公式解説ページによると断面積300cm²以上の大断面集成材「ヘビーティンバー」を柱・梁に用いたラーメン構造を部分的に組み合わせており、公式サイトによれば許容圧縮応力度が製材の1.5倍とされる部材で、開口部を支える設計です※3。柱・梁を太く強くするラーメン構造と、パネルを面で一体化するモノコック構造という異なるアプローチながら、いずれも「耐力壁の配置制約を緩和し、柱の本数を抑えた大空間を成立させる」という目的は共通しています。

数値で裏付けられた大空間・大開口の実現幅

大空間の広さは各社の公式サイトに具体的な数値で掲載されています。住友林業は、特許を取得した梁「プレストレストティンバー」を採用した商品「The Forest BF」について、最大開口幅約7.1mまでの設計が可能と2017年4月のニュースリリースに掲載しており(2017年発表時点の商品仕様です)(参照元:住友林業公式サイト「ニュースリリース(2017年4月20日)」https://sfc.jp/information/news/2017/2017-04-20.html)、壁一面の大開口や柱本数を抑えた開放的な大空間の設計に対応します※1。三井ホームのGフレーム構法は最大約7.3m(構造計算による)、上位仕様「GフレームZ」では最大有効開口幅約7.5m・最大有効間口高さ約5.4m(2階分に相当)の全面開口に対応すると公式サイトに掲載されています※3。なお「一般的な木造住宅の開口幅は約4m」という比較値は三井ホームが自社の公式サイトで示しているもので、業界共通の統計値ではありません。

2社が公開している耐震性の裏付けと、構造計算のルール

大空間・大開口は柱や壁が減るぶん、耐震性をどう裏付けているかが比較の要点になります。両社とも実大モデルを用いた振動実験の結果を公式サイトで公開していますが、公開されている内容の粒度は異なります。

住友林業:加振回数で耐震性を説明

住友林業は公式サイトで、BF構法の実験結果として「これまで日本で観測されたさまざまな巨大地震以上の揺れや、200回を超える加振にも余裕で耐えました」と説明しています。ただし、この実験の対象や加振条件は公式サイトに明示されていません。別途、3階建ての実物大モデルによる振動実験では合計22回の加振を実施したと公開されています※1。

三井ホーム:実験機関・実測値まで公開

三井ホームは、国立研究開発法人 土木研究所で2016年に実施した実大振動実験の数値を公式サイトに掲載しています。2階建「プレミアム・モノコックG」では最大加速度5,115gal・最大速度231kine・震度7の連続加振60回、3階建「プレミアム・モノコックS」では最大加速度4,176gal・最大速度183kine・震度7の連続加振29回とされています(公式サイトには「入力地振動の数値ではありません。実験時に振動台で計測された実測値です」との注記があります)※10。設計面では、Gフレーム構法による大開口を「最大約7.3m(構造計算による)」と掲載しているほか、基礎の設計ではオリジナル構造計算システム「CASC-F」を用いて一邸ごとに敷地・地盤条件に合わせた設計を行うと説明しています※9。

いずれもメーカー自身が公開する自社実験の結果であり、第三者が同一条件で各社を比較検証したものではありません。実験の対象モデルや加振条件も各社で異なるため、公開されている数値をそのまま各社の優劣の比較に用いることはできません。

前提として、構造安全性の確認方法は商品ごとに異なります

実験結果とは別に、実際に建てる住宅で構造安全性をどう確認するかは、法律上の区分と各商品の設計方針で決まります。国土交通省の資料によれば、2025年(令和7年)4月施行の改正建築基準法により、木造2階建て住宅は「新2号建築物」に区分され、建築確認で構造関係規定の審査を受けます(従来のいわゆる「4号特例」による審査省略の対象外)※4。そのうえで、地階を除く階数2以下・延べ面積300㎡以下・高さ16m以下であれば、構造計算によらず仕様規定(壁量計算等)で設計することができ、仕様規定では壁量のほか、耐力壁の配置バランス・接合部・柱の小径・基礎・床組も確認します。2025年4月からは、断熱材や太陽光パネルなどによる建物の重量化を踏まえて必要壁量の算定方法も見直されています※8。つまり、実験結果が公開されていることと、自分が建てる住宅が許容応力度計算で確認されるかどうかは別の話です。検討している商品でどの方法が用いられるのかは、契約前に仕様書で確認しておきたい項目です。

省エネ性能・長期優良住宅への対応

木造フレーム構法による大空間を、断熱・省エネ性能とあわせて設計している点も2社に共通しています。住友林業のサステナビリティサイトによれば、新築戸建注文住宅のZEH(ゼロエネルギーハウス)受注比率は2025年度実績で81.3%です(Nearly ZEHなどを含む/2026年9月確認)※6。また、長期優良住宅の認定取得率は2025年度実績で97.4%と公式サイトに掲載されています(2026年9月確認)※7。木造の大空間LDKと省エネ性能・耐久性を両立させる設計体制がうかがえます。三井ホームも、面で一体化するプレミアム・モノコック構法の躯体を土台に、大開口部の断熱仕様や省エネ性能を組み合わせた提案を公式サイトに掲載しています※2。大空間・大開口は開口部からの熱損失が課題になりやすいため、両社とも構造技術と断熱仕様をセットで検討する運用を示している点は、大手木造フレーム系を検討するうえで押さえておきたいポイントです。

このタイプの該当2社

本メディアでは住友林業・三井ホームを大手木造フレーム系に分類しています。いずれも自社開発の木造フレーム構法を軸に、大空間・大開口の設計自由度と大手ハウスメーカーとしての保証体制を掲載している会社です。五十音順で紹介します。

本ページは、2026年7月〜9月に実施した公式サイト調査により、独自開発の木造フレーム構法を大空間・大開口の主力技術として公式サイトに掲載している大手ハウスメーカーを対象に整理したものです。掲載2社は当メディアが選定したもので、市場のすべての事業者を網羅したものではありません。

住友林業の施工事例「吹き抜けの大空間が広がるZEH」の吹き抜けリビング・ダイニングの内観写真
画像引用元:住友林業公式サイト(https://sfc.jp/ie/style/detail/4213)

住友林業

独自開発の木造ラーメン構法「BF構法(ビッグフレーム構法)」を採用する大手ハウスメーカーです。幅560mmの「ビッグコラム」による木質梁勝ちラーメン構造で、特許を取得した梁「プレストレストティンバー」を採用した商品について、最大開口幅約7.1mまでの設計が可能と2017年4月のニュースリリースに掲載しています。全国の住宅展示場を拠点に、木材建材事業から住宅事業までを一貫して手掛ける総合住生活企業としての体制もあわせ持っています。

三井ホームの施工事例「広い庭につながる天井高3mの大空間リビングとラナイのある家」のリビング写真
画像引用元:三井ホーム公式サイト(https://www.mitsuihome.co.jp/home/works/case112/)

三井ホーム

面で支える「プレミアム・モノコック構法」を主力とし、大開口には木質ラーメン構造の「Gフレーム構法」を組み合わせる全国規模のハウスメーカーです(「MOCX WALL工法」もあわせて展開しています)。最大約7.3m(構造計算による)、上位仕様「GフレームZ」で最大有効開口幅約7.5m・最大有効間口高さ約5.4mの全面開口に対応すると公式サイトに掲載しています。1974年設立、三井不動産グループの一員として全国エリアで注文住宅を展開しています※1。

よくある質問(FAQ)

大手木造フレーム系タイプに関する質問を3問にまとめました。

大手木造フレーム系はどんな特徴がありますか?

大手ハウスメーカーが独自開発した木造フレーム構法(住友林業のBF構法、三井ホームのプレミアム・モノコック構法+Gフレーム構法)を採用し、木造でありながら大空間・大開口に対応する点が共通の特徴です(構造の抵抗原理は各社で異なります)。柱・梁を金物で強固に接合するラーメン構造や、パネルを面で接合するモノコック構造により、耐力壁の配置制約を緩和しています。あわせて、構造実験の結果を公式サイトで公開している点、全国規模の展示場網と長期保証・アフターサービス体制を備えている点も共通の特徴です。なお構造安全性をどの方法で確認するかは各社・各商品で異なるため、本メディアでは全タイプについて、契約前の仕様書で確認する項目として案内しています。

大手木造フレーム系はどんな人に向いていますか?

木造の温かみを保ちながら大空間・大開口を実現したい読者、かつ全国規模の展示場網や長期保証・定期点検などのアフター体制を重視する読者に向いているタイプです。独自構法の技術的な裏付け(公開されている構造実験の結果や、構造安全性の確認方法)を判断材料にしたい場合や、独立系の工務店・設計事務所よりも大手グループとしての全国的な施工・アフター体制を優先したい場合にも候補となります。

このタイプに該当する会社は何社ですか?

本メディアでは2社(住友林業・三井ホーム)を大手木造フレーム系に分類しています。並び順は会社名の五十音順で固定しており、序列や推薦を示すものではありません。両社とも独自の木造フレーム構法と大手ハウスメーカーとしての体制を掲載している点が分類の根拠です。

大手木造フレーム系以外のタイプや、大空間を実現する工法そのものの基礎知識ページもあわせて確認すると、比較検討が進めやすくなります。