BF構法(ビッグフレーム構法)とは|住友林業の大空間木造
住友林業株式会社が独自開発した木質梁勝ちラーメン構造の構法が、BF構法(ビッグフレーム構法)です。同社は「日本初の木質梁勝ちラーメン構造として特許を取得しています」と公式サイトに明記しています※(2026年8月時点の公式サイトでは、登録商標である旨の表示は確認できませんでした)。太い柱(ビッグコラム)と梁を剛接合したラーメン躯体を主体としつつ、必要な位置に耐力壁を併用することで、木造でありながら、特許技術「プレストレストティンバー」の採用時には最大約7.1mの大開口を実現します(公式サイトは「耐力壁のかわりにビッグコラム」と説明していますが、耐力壁を一切用いない構法ではありません)。本ページでは、BF構法という技術そのものの構造原理・実現できる開口・他の木造フレーム構法との違いを、住友林業公式サイトおよび第三者の技術解説記事を出典として整理します。
この記事の要点
- BF構法は住友林業株式会社が独自開発し、「日本初の木質梁勝ちラーメン構造として特許を取得しています」と公式サイトに明記している構法で、同社の商品にのみ用いられています。なお2026年8月時点の公式サイトでは、名称が登録商標である旨の表示は確認できませんでした。
- 構造原理は木質梁勝ちラーメン構造。幅560mmの主要構造材「ビッグコラム」を梁優先(梁勝ち)で剛接合し、通し柱の制約を受けずに柱を配置できます。
- 実現できる開口幅は、報道によれば従来の約5.2mから、特許技術「プレストレストティンバー」の採用により最大約7.1mまで拡大しています(出典:住友林業ニュースリリース/2017年4月20日)。
- SE構法(株式会社エヌ・シー・エヌが提供、全国約500の登録施工店が採用可能※1)や三井ホームのプレミアム・モノコック構法(面構造ベース)とは、供給体制・構造原理の両面で異なります。
- 本ページに記載の数値・仕様は各出典の公開時点のものであり、住友林業の公式サイトに最新の技術解説が掲載されています※2。
BF構法の定義・概要
住友林業株式会社は2003年に開発に着手し、2005年2月発売の3階建商品「Proudio-BF」でBF構法を初めて採用しました。同社は自社サイトで、これを「日本初の木質梁勝ちラーメン構造」として特許を取得したと説明しています※1。同社が特許を取得したオリジナル構法として公式サイトに掲載されており、BF構法を採用した住宅を提供しているのは住友林業のみです。なお「ビッグフレーム構法」「BF構法」が登録商標である旨の表示は、2026年8月時点の公式サイトでは確認できませんでした。特許権・商標権の具体的な権利範囲については公表資料で確認できていないため、本メディアでは他社が名称・技術を使用できるか否かの断定は行いません。
構造の中心となるのは、幅560mmの主要構造材「ビッグコラム」です。一般的な木造軸組の柱が105mm角であるのに対し、ビッグコラムは約5倍の太さを持つ大断面集成柱です。ビッグコラムと梁の接合強度を検証する加力実験では、建築基準法の最高壁倍率5.0を大きく上回る壁倍率22.4相当の許容水平耐力が確認されており、柱でありながら高い壁倍率を持つ部材として位置づけられています(2021年4月更新の住友林業公式サイト掲載内容で確認)※2。同社の公式サイトでは、このビッグコラムと梁を金物で強固に接合する「メタルタッチ接合」を組み合わせることで、柱の本数が少なくても「高い耐震性を確保することが可能」としています(2026年8月確認時点の掲載内容)※3。
発売以降も技術更新を重ねており、公式サイトのプレスリリースでは「ダブルビッグコラム」「ツインボトルコラム」「プレストレストティンバー」「360°TRIPLE断熱」の各技術の採用が節目として紹介されています。同プレスリリース(2025年4月25日公表)では、累計約9万棟の住宅に採用されていることも紹介されています※1。
押さえるべきポイント
構造原理:木質梁勝ちラーメン構造とビッグコラム
BF構法の構造原理は、柱ではなく梁を優先して設計する「梁勝ち」のラーメン構造です。一般的な木造軸組工法や、多くの木造ラーメン系構法が柱を優先する「柱勝ち」であるのに対し、BF構法は梁勝ちで設計されているため、通し柱の位置に上下階の間取りが縛られず、各階で柱の配置を変えることができます※1。
耐震性の面では、住友林業公式サイトの商品ページによると、接合金物を工夫することでビッグコラム1本で壁倍率22.4相当(接合部を含めた性能を1m当たりに換算した相当値で、建築基準法上の壁倍率そのものではありません)、接合金物を2倍にして33.6相当、ビッグコラム2本を重ねて44.8相当の許容水平耐力を確認しており、建築基準法上の最高壁倍率5.0を大きく上回る数値としています(2021年4月更新の掲載内容で確認)※2。また、住友林業公式サイトの技術解説ページでは、破壊実験で200回を超える加振にも耐えたと説明されています(2026年8月確認時点の掲載内容)※3。一般的な筋かい耐力壁の幅の約1/5の幅でも同等以上の耐震性を確保できる点が、柱の本数を抑えた大空間設計を可能にする構造上の根拠とされています。
実現できる開口:プレストレストティンバーによる約7.1mまでの大開口
BF構法で実現できる開口幅は、技術更新によって段階的に拡大してきました。住宅産業専門紙R.E.portの2017年4月21日付記事では、BF構法のこれまでの最大開口幅が約5.2mだったと報じられています※4。その後、2016年12月に採用された特許技術「プレストレストティンバー」(梁材にあらかじめ張力を導入し、たわみを抑える工夫を組み込んだ梁)により、最大開口幅は約7.1mまで拡大したことが報じられています※4。同記事では、天井高を2,250mm・2,400mm・2,600mm・2,800mmの4種類から選べる商品「The Forest BF」の発売もあわせて紹介されており、大空間の設計自由度と天井高のバリエーションを組み合わせて提案する方向性がうかがえます。
ただし、7.1mという数値は特定の商品・仕様における実現可能値であり、すべての間取り・荷重条件で無条件に達成できるわけではありません。実際に採用できるスパンは、間取りの荷重条件や構造計算の結果を踏まえて個別に決まる点に留意が必要です。
他の木造フレーム構法との違い:SE構法・プレミアム・モノコック構法
BF構法と他の木造フレーム系構法との違いは、供給体制と構造原理の2軸で整理できます。SE構法は株式会社エヌ・シー・エヌが構法提供元となり、集成材と独自の接合金物(SE金物)による柱・梁の剛接合(ラーメン躯体)と耐力壁を構造計算で組み合わせて水平力に抵抗する木造ラーメン構法です。開発元の2016年3月発表のプレスリリースでは2015年3月末時点で493社(「全国約500社」と紹介)とされており、特定のハウスメーカーに限定されない点が特徴です※5。これに対しBF構法は住友林業が単独で供給・管理する自社専用構法であり、他の工務店から相見積もりを取るという選び方はできません。SE構法とBF構法の施工体制の違いは第三者の解説記事でも指摘されています※6。
三井ホームのプレミアム・モノコック構法は、床・壁・天井の6面体を1単位とする枠組壁工法をベースに、同社独自の部材(ダブルシールドパネル等)を組み合わせた構法です※7。柱・梁の剛接合で水平力を処理するBF構法・SE構法のラーメン構造に対し、プレミアム・モノコック構法は面全体で水平力を分散させるモノコック構造がベースにある点が、構造原理としての根本的な違いです。水平力を負担する部位が「柱・梁」か「面」かという違いは、大空間を実現する設計手法や、将来のリフォームで動かせる壁の自由度にも影響し得る要素として、各社公式サイト・第三者解説記事の双方で説明されています。
供給体制の面でも三者三様です。SE構法は構法提供元1社に対し登録施工店の数が全国的に多いのに対し、BF構法とプレミアム・モノコック構法はいずれも開発元のハウスメーカー1社が設計から供給までを一貫して担う体制です。同じ「大手が単独で供給する木造フレーム系構法」という位置づけの中でも、ラーメン構造(BF構法)とモノコック構造(プレミアム・モノコック構法)という構造原理の違いが、対応できる間取りの傾向や将来の間取り変更のしやすさに反映されると考えられます。
よくある誤解
BF構法という名称の知名度に対して、採用可能な会社の範囲や開口幅の数値をめぐる誤解が見られます。以下に代表的な誤解と実際の考え方を整理します。
誤解1:BF構法は木造ラーメン構法の総称であり、どの工務店でも採用できる
BF構法は特定の構法カテゴリの総称ではなく、住友林業株式会社が特許を取得したと公式サイトに明記している同社オリジナルの構法名です。名称が登録商標であるかどうかは、2026年8月時点の公式サイトでは確認できませんでした。SE構法のように構法提供元から複数の登録施工店へライセンス提供される形式とは異なり、BF構法を採用できるのは住友林業のみです。
誤解2:太い柱を使うので木造の軽さというメリットが失われる
ビッグコラムは一般的な柱の約5倍の幅を持ちますが、木材を用いた集成柱である点は変わらず、鉄骨造や鉄骨ユニット工法と比較した場合の建物重量の違い(木材は鋼材より比重が軽い)はBF構法にも当てはまります。太い柱を用いるのは耐力壁への依存度を下げ柱の本数を減らすためであり、木造としての重量面の特性を損なうものではありません。
誤解3:BF構法であれば、どの間取りでも最大7.1mの開口を実現できる
最大約7.1mという開口幅は、プレストレストティンバー等の特許技術を用いた特定の商品・仕様における実現可能値です。実際に採用できる開口幅は、建物の階数・荷重条件・間取り全体のバランスや構造計算の結果によって個別に決まるため、希望する開口幅がすべての間取りで一律に実現できるとは限らない点に注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
ビッグフレーム構法(BF構法)に関するよくある質問を4問にまとめました。
BF構法はどの会社でも採用できますか?
住友林業株式会社が独自開発し、「日本初の木質梁勝ちラーメン構造として特許を取得しています」と公式サイトに明記している同社オリジナル構法で、2026年8月時点で「BF構法(ビッグフレーム構法)」として住宅を供給していることを確認できるのは同社のみです。名称や技術を他社が使用できるかどうかという権利範囲については、本メディアでは判断していません。
BF構法の最大開口幅は何mですか?
住宅産業専門紙R.E.portの2017年4月21日付記事によると、BF構法のこれまでの最大開口幅は約5.2mでした。2016年12月に採用した特許技術「プレストレストティンバー」により、最大開口幅は約7.1mまで拡大したと同記事は報じています(住友林業の2017年4月20日付ニュースリリースにも「最大開口幅約7.1mまでの設計が可能」と記載)。7.1mは当該特許技術を用いた特定の商品・仕様における実現可能値です。
BF構法とSE構法はどう違いますか?
どちらも柱・梁の剛接合を用いる木造ラーメン系構法という点は共通しますが、耐力要素の構成は両者で異なります(SE構法はラーメン躯体と耐力壁を構造計算で組み合わせ、BF構法はビッグコラムを主要な耐力要素としつつ別の耐力壁も併用します)。供給体制の面では、BF構法は住友林業のみが供給する自社専用構法であるのに対し、SE構法は株式会社エヌ・シー・エヌが構法提供元となり全国約500社の登録施工店が採用できる点が異なります※1。
BF構法と三井ホームのプレミアム・モノコック構法はどう違いますか?
BF構法は柱・梁の剛接合で水平力に抵抗する梁勝ちラーメン構造であるのに対し、プレミアム・モノコック構法は床・壁・天井の面全体で水平力を処理する枠組壁工法(モノコック構造)をベースにしています。水平力を負担する部位が柱・梁か面かという構造原理の違いが土台にあります。