工務店型・木造ラーメン構法系
木造で大空間を実現しつつ、地域密着で設計自由度と対面の設計提案を重視するタイプ
木造ラーメン構法「SE構法」を提案・採用する工務店・設計事務所併設型のグループ。集成材と専用接合金物によるラーメン躯体に耐力壁を組み合わせ、住宅では通常9mスパンが可能とされています※1。SE構法では全棟で許容応力度計算を行うことが構法の要件とされています(会社の全商品が対象とは限りません)。
大空間住宅は木造か鉄骨か、独自フレーム構法か枠組壁工法か、選ぶ構造によって実現できるスパンや設計の進め方が変わります(工期・費用・保証体制は構造だけでなく会社規模・商品・販売体制にも左右されます)。本ページでは掲載7社を本メディア独自の4タイプに整理して俯瞰し、並列一覧で紹介します。
実現手段(構造)から切って並べると、各社の得意領域が検討する方にとって見比べやすい形になります。木造大空間で用いられるSE構法から、大手ハウスメーカーの鉄骨系まで、公式サイトの掲載値をそろえて整理しました。なおこの4タイプは業界標準の分類ではなく、掲載7社を読み解くために本メディアが設定した編集上の整理です。
7社の公式情報を調査(2026年8月時点)
本メディアでは掲載7社を4タイプに整理しています。工法ごとに公式サイトで示されるスパン数値の上限が異なります。要点を4行にまとめました。
大空間住宅は間仕切りを最小限にした連続する居住空間を持つ住宅の総称です。法令上・業界上の統一定義はありません。本メディアでは記事間で目安をそろえるため、30畳前後以上のワンルーム状LDK、天井高2.7m以上、吹抜のある連続空間などを便宜的な目安としています(本メディア独自の目安であり、公的基準ではありません)。
大空間の家を検討する方は、リビングの開放感、家族が集まる時間、家具の自由なレイアウト、来客時の見栄えといった価値を求めています。一方で「柱を減らすと耐震性は保てるのか」「吹抜のある家は冬に寒くならないのか」「費用はどれくらい変わるのか」という不安も伴います。
これらの疑問への答えは、選ぶ工法によって変わる部分が大きくなります。木造でも大空間は実現可能で、SE構法は住宅で通常9mスパンを可能にする木造ラーメン構法です(出典:エヌ・シー・エヌ「SE構法の構造」ページ)(耐力壁とラーメン躯体を構造計算で組み合わせる構法で、実際のスパンは設計条件によります)※1。鉄骨造では積水ハウスISシリーズ(軽量鉄骨・ダイナミックフレームシステム)が1階は最大7mスパン・天井高2.7m、2階は最大8mスパン、2階天井部分には最大8mスパンの小屋吹き抜けを公式サイトに掲載しています※2。
本ページでは、掲載7社を構造タイプ×大空間の実現手段という軸で4タイプに整理し、並列一覧で紹介します。掲載社は「大空間・大開口に関する具体的な仕様値または専用構法を公式サイトで公表していること」を条件に、木造工務店・大手木造・鉄骨系がそれぞれ含まれるよう本メディアが選定した7社です(市場の全社を網羅したものではありません)。調査概要:調査時期は2026年7月〜2026年8月、調査方法は各社公式サイトの構法・技術ページ、施工事例ページ、会社概要ページの閲覧です(本メディアが独自に実施したもので、アンケート・取材は行っていません)。調査対象は、大空間・大開口に関する具体的な仕様値または専用構法を公式サイトで公表している注文住宅会社です。「どのタイプが自分に合うか」を判断する材料と、判断時に見落とされやすい確認項目を提示することが本ページの役割です。
掲載7社を構造タイプで切ると、工務店型・木造ラーメン構法系/大手木造フレーム系/鉄骨系/高断熱・枠組壁工法系の4タイプに整理できます。業界標準の分類ではなく、掲載7社を見比べるために本メディアが設定した編集上の区分です。それぞれ「向いているケース」が異なります。
木造で大空間を実現しつつ、地域密着で設計自由度と対面の設計提案を重視するタイプ
木造ラーメン構法「SE構法」を提案・採用する工務店・設計事務所併設型のグループ。集成材と専用接合金物によるラーメン躯体に耐力壁を組み合わせ、住宅では通常9mスパンが可能とされています※1。SE構法では全棟で許容応力度計算を行うことが構法の要件とされています(会社の全商品が対象とは限りません)。
独自開発の木造フレーム構法で木造の大空間を実現し、大手の保証・アフター体制を重視するタイプ
住友林業のビッグフレーム構法(BF構法=木質梁勝ちラーメン構造)や三井ホームのプレミアム・モノコック構法(面で支える枠組壁工法系)など、大手ハウスメーカーが独自開発した木造構法のグループ。構造の原理は各社で異なります。BF構法は特許技術「プレストレストティンバー」の採用時に最大開口幅約7.1mまでの設計が可能と公式ニュースリリースに掲載しています(出典:住友林業ニュースリリース/2017年4月20日)※2。
鉄骨造で大スパン・大開口を実現し、工場生産による品質管理と大手のアフター体制を重視するタイプ
積水ハウスISシリーズ(軽量鉄骨・ダイナミックフレームシステム)やヘーベルハウス(重量鉄骨システムラーメン/ハイパワード制震ALC構造)など、鉄骨造で大空間を実現するグループ。鋼材の種別・構造形式は各社で異なります。積水ハウスISは1階は最大7mスパン・天井高2.7m、2階は最大8mスパン、2階天井部分には最大8mスパンの小屋吹き抜けを公式サイトに掲載しています※3。
大空間だけでなく断熱・気密性能や収納量との両立を重視するタイプ
一条工務店の主要商品(2×6の枠組壁工法をベースにしたツインモノコック構造など。商品により構法・断熱仕様は異なります)のように、大空間と別軸の価値(断熱性能・収納力)を組み合わせて提案するグループです。
7社の本社所在地・採用工法・対応エリアを、同じ3項目で並列に紹介します。掲載順は序列や推薦を示すものではありません。
掲載はタイプ順(工務店型・木造ラーメン構法系→大手木造フレーム系→鉄骨系→高断熱・枠組壁工法系)、タイプ内は会社名の五十音順(アルファベット表記の社名を先に配置)(2026年8月時点・7社)
神戸市に本社を置く地域密着型工務店。SE構法(木造ラーメン構法)を採用し、木造で大空間LDKや吹抜のある連続空間を手がけています。パッシブデザインの日照シミュレーションと高断熱高気密仕様を組み合わせた設計提案を行っています。公式サイトの施工事例ページでは、姫路市の1事例について住宅品質・空間デザイン系コンテスト2件の受賞を掲載しています(受賞名は詳細ページに記載)。
栃木県鹿沼市に本社を置く工務店。木造ラーメン構法「SE構法」の登録施工店で、SE構法による大梁・大開口の住宅を提案しています。制震ダンパー「ミライエ」の全棟標準搭載を公式サイトで公表しています。
独自開発のビッグフレーム構法(BF構法)を採用する木造大手ハウスメーカー。同社は「日本初の木質梁勝ちラーメン構造として特許を取得しています」と公式サイトに明記しており、大断面集成材のビッグコラムと特許技術「プレストレストティンバー」の採用時には最大開口幅約7.1mまでの設計が可能と公式ニュースリリースに掲載しています。長期保証・定期点検制度を整備しています。
面で支える枠組壁工法をベースにした「プレミアム・モノコック構法」を主力とする木造の大手ハウスメーカー。大空間・大開口には木質ラーメン構造の「Gフレーム」(最大約7.3m)を組み合わせるほか、「MOCX WALL工法」も展開しています。デザイン提案を強みとしています。
軽量鉄骨の1・2階建て「ISシリーズ」を主力の一つとする大手ハウスメーカー。ダイナミックフレームシステム(軽量鉄骨のC形鋼柱+ブレースによる構造)により、1階は最大7mスパン・天井高2.7m、2階は最大8mスパン、2階天井部分には最大8mスパンの小屋吹き抜けを公式サイトに掲載しています。全国約350カ所の展示場を展開しています。
鉄骨躯体とALC外壁パネル「ヘーベル」を組み合わせる旭化成ホームズの戸建ブランド。3階建て以上向けの重鉄制震・システムラーメン構造のほか、1〜2階建て向けのハイパワード制震ALC構造、2階建て専用の重量鉄骨「RATIUS/RD」など、商品によって構造が分かれます。都市部住宅を主戦場としています。
掲載7社の採用工法・対応エリア・大空間に関する公式サイトの掲載内容を、同一項目で並べた早見表です。「タイプ」欄は本メディアの編集上の区分、それ以外は各社公式サイトの記載に基づきます。スパン・開口幅・天井高は指標が異なるため、数値をそのまま横並びで比較することはできません。
| 会社名 | タイプ(本メディアの区分) | 採用工法 | 大空間に関する公式サイトの記載 | 対応エリア |
|---|---|---|---|---|
| WHALE HOUSE | 工務店型・木造ラーメン構法系 | SE構法 | SE構法採用の明記 | 兵庫県内を中心とした阪神・播磨エリア |
| カクニシビルダー | 工務店型・木造ラーメン構法系 | 在来木造+SE構法(提案可能) | SE構法の提案・制震ダンパー全棟標準搭載の明記 | 栃木県内14市11町+隣接地域 |
| 住友林業 | 大手木造フレーム系 | BF構法(木質梁勝ちラーメン構造) | 開口幅 最大約7.1mの記載(プレストレストティンバー採用時) | 全国(対応可否は要確認) |
| 三井ホーム | 大手木造フレーム系 | プレミアム・モノコック構法(面構造)/Gフレーム構法(木質ラーメン)ほか | Gフレームで最大約7.3m、GフレームZで7.5m×5.4mの記載 | 全国(対応可否は要確認) |
| 積水ハウス | 鉄骨系 | 軽量鉄骨(ISシリーズ/ダイナミックフレームシステム) | 1階は最大7mスパン・天井高2.7m、2階は最大8mスパン、2階天井部分には最大8mスパンの小屋吹き抜けの記載 | 全国(商品により販売地域が異なる場合あり) |
| ヘーベルハウス | 鉄骨系 | 鉄骨(重鉄システムラーメン構造/ハイパワード制震ALC構造など)+ALC | 3階建て対応・RATIUS RDなど大空間商品の掲載 | 公式サイトの住宅展示場一覧に掲載があるのは関東・東海・関西・西日本の一部都府県(2026年8月時点) |
| 一条工務店 | 高断熱・枠組壁工法系 | 2×6枠組壁工法(ツインモノコック構造)ほか商品により異なる | 高断熱高気密仕様・38帖LDKなどの施工例の掲載 | 沖縄県・高知県を除く全国 |
大空間住宅の会社選びでは、パンフレット上の訴求フレーズ(「大空間」「広々LDK」といった見出し文言)ではなく、仕様書に記載される数値レベルの確認が判断材料になります。以下の3点は、本メディアが編集上重要と考えている確認項目です(公的機関が定めた優先順位ではありません)。
大空間住宅の検討で寄せられる質問を4問にまとめました。回答は各社公式サイトと公的機関の公表資料に基づいています。
法令上・業界上の統一定義はありません。本メディアでは記事間で目安をそろえるため、間仕切りを最小限にした30畳前後以上のワンルーム状LDKや、天井高2.7m以上・吹抜のある連続空間を持つ住宅を便宜的に「大空間住宅」として扱っています(本メディア独自の目安です)。実際の比較は、各社が「大空間」と表記する仕様値(スパン・開口幅・天井高)を指標ごとに読み分けるのが実務的です。
高断熱・高気密仕様(外皮性能(UA値)と気密性能(C値)の管理※3)と全館空調または床下エアコンの組み合わせで、大空間でも室温差を抑える設計が可能です。パッシブデザインで日射取得を計算する設計も有効です。詳細は基礎知識ガイドの断熱ページで解説しています。
工法・仕様・エリアで幅があり、大空間住宅に絞った公的な坪単価統計はありません。構造別の全国平均としては、建築費調査のコラムで木造がおおむね坪76.7万円程度、鉄骨造が坪122.5万円程度という目安が紹介されています(2025年時点データ。同コラムに原出典の記載がないため参考値です)※4。SE構法工務店・大手鉄骨ハウスメーカーの坪単価は各社の仕様・エリア・面積で幅があるため、実際の予算感は各社の公式カタログや見積りで確認するのが確実です。住宅金融支援機構のフラット35利用者調査の最新版(2025年度・2026年7月24日公表)では、注文住宅の平均所要資金(建設費)の全国平均は4,262万円ですが、これはフラット35利用者に限った統計で、注文住宅全体の平均ではありません※5。
大空間住宅の意思決定に必要な基礎知識を、4テーマに分けて解説しています。検討する方が読了後に「自分の状況で何を優先すべきか」を判断できる状態を目指しています。
大空間住宅の定義、代表的な広さ(30畳超LDK・天井高2.7m以上・吹抜)、大空間の魅力と注意点を整理して解説しています。用語の揺れとメーカー各社の表記の違いも取り上げます。
基礎知識を読む →許容応力度計算と大梁スパンの関係、木造ラーメン構法の耐震性の考え方を出典付きで解説しています。パンフレット上の訴求フレーズではなく、仕様書に記載される数値の読み方を提供します。
耐震性を読む →UA値・C値の管理、パッシブデザイン、全館空調・床下エアコンとの組み合わせを、実務の設計視点で解説しています。ランニングコストとの関係も取り上げます。
断熱性能を読む →坪単価・工法別の費用感を、住宅金融支援機構の公式データと各社公式サイトの掲載値をもとに整理して解説しています。予算策定の判断材料を提供します。
費用相場を読む →4タイプそれぞれの詳細と、テーマ別の関連記事へのリンクをまとめています。
大空間住宅を検討する方にとって、工法選びは間取りの自由度を左右する、検討の初期段階で押さえておきたい論点です。木造ラーメン構法(SE構法)は、集成材と専用接合金物による柱・梁のラーメン躯体に耐力壁を組み合わせ、構造計算によって大きな連続空間を成立させる仕組みです。耐力壁をなくす構法ではなく、耐力壁の配置の制約を設計上調整しやすくする構法と理解するのが正確です。木造でありながら鉄骨造・RC造で用いられるラーメン構造の考え方を木構造に取り入れた点が、在来軸組工法との違いです。
一方、住友林業のビッグフレーム構法(BF構法)は、独自開発の大断面集成材「ビッグコラム」と梁勝ちのラーメン構造により、木造でも特許技術「プレストレストティンバー」の採用時に最大開口幅約7.1mまでの設計が可能と公式ニュースリリースに掲載しています※1。三井ホームのプレミアム・モノコック構法は、面で支える枠組壁工法をベースにした構造で、BF構法とは抵抗の原理が異なります。三井ホームで大開口を必要とする場合は、木質ラーメン構造の「Gフレーム」(最大約7.3m)が組み合わせられます。
鉄骨造は、鋼材の強度により柱・梁の断面を小さくしながら、柱と柱の間隔(スパン)を大きく取りやすい点が構造的な特徴です(実際に何mまで取れるかは構造形式・部材・設計条件によります)。積水ハウスのISシリーズは軽量鉄骨のダイナミックフレームシステムを採用し、C形鋼の柱とブレースで構成される構造で1階は最大7mスパン・天井高2.7m、2階は最大8mスパン、2階天井部分には最大8mスパンの小屋吹き抜けを公式サイトに掲載しています※2。ヘーベルハウスは鉄骨躯体とALC外壁パネル「ヘーベル」を組み合わせ、3階建て以上向けの重鉄システムラーメン構造など商品ごとに異なる構造を用意し、都市部住宅を主戦場としています。
検討する方が意思決定で先に押さえるべきは、「望む大空間の広さと天井高が、どの工法なら仕様書レベルで実現可能か」という点です。パンフレット上の訴求フレーズではなく、公式サイトに掲載される仕様値・スパン数値・天井高数値を並べて読み解くと、市場は落ち着いて見えてきます。