大空間LDKの間取り事例|吹抜・平屋・2階リビング・中庭の4パターン

広いワンルーム型LDKを実現する間取りを、本メディアでは吹抜型・平屋型・2階リビング型・中庭併設型の4パターンに整理しています(業界共通の分類ではなく、事例を読み解くための編集上の整理です)。なお本ページで紹介する事例には、本メディアの掲載7社以外(ダイワハウス・ミサワホーム・ホームアンドニコ・三建)の公式事例も含まれています。各パターンは、天井の高さで縦に広げるか、フロアを1枚で使うか、階の配置で開放感をつくるか、外部空間と組み合わせるかという発想が異なり、向いている敷地条件や検討すべき注意点も変わります。本ページでは、各パターンの特徴と敷地条件との相性を、掲載7社および上記4社の公式サイト事例に基づいて横断的に整理します(表では掲載7社以外の会社に※印を付しています)。

吹抜・平屋・中庭で叶える大空間LDKの要点

  • 本メディアでは間取りを吹抜型・平屋型・2階リビング型・中庭併設型の4パターンに整理している(業界共通の分類ではない)。紹介する事例には掲載7社以外の会社の公式事例も含む。
  • 吹抜型は縦方向の空間を活かす手法で、三井ホームの約30畳LDKや積水ハウスの6m×11mの勾配天井吹き抜けなど、2階建て以上の設計で事例が各社公式サイトに掲載されている。
  • 平屋型はワンフロアに床を集約する手法で、ダイワハウス(掲載7社以外)の勾配天井最大5m20cmや一条工務店の38帖LDKなどの事例が各社公式サイトに掲載されている。
  • 2階リビング型は敷地が限られる場合の選択肢で、WHALE HOUSEの2階LDK+中庭や三建(掲載7社以外)の眺望を活かした2階リビングなど、上下ゾーニングによる開放感の確保が公式サイトに掲載されている。
  • 中庭併設型は採光・通風の確保と組み合わせる手法で、WHALE HOUSEの姫路市の事例(Japan Housing Quality Award 2024建物部門最優秀賞、LIXILメンバーズコンテスト2025空間デザイン賞/グッドリビング賞を受賞)のように、中庭とLDKを一体で計画する設計が公式サイトに掲載されている。

大空間LDKの間取りパターン(定義・概要)

本ページでいう間取りパターンとは、広いワンルーム型LDKを実現するための空間の広げ方を本メディアが整理したもので、縦・面・階・外部空間という発想軸で整理できます。大空間住宅の定義・広さの目安の解説ページで紹介したとおり、大空間LDKという言葉自体に法令上の統一定義はありませんが、本メディア掲載各社の公式サイトに掲載された事例を横断すると、空間の広げ方には共通する型が観察できます。

1つ目は、吹抜や高天井によって天井方向に空間を広げる吹抜型です。2つ目は、建物をワンフロアに集約して仕切りのないLDKを作る平屋型です。3つ目は、限られた敷地の中でリビングを2階に配置し、上下でパブリック・プライベートを分ける2階リビング型です。4つ目は、LDKに面して中庭を設け、外部空間と組み合わせて開放感・採光を確保する中庭併設型です。実際の事例では、2階リビングと中庭を組み合わせる、吹抜と勾配天井を組み合わせるなど、複数のパターンが併用されることも珍しくありません。どのパターンを軸にするかは、工法比較ガイドで整理した構法の選択とあわせて検討する事項です。

押さえるべきポイント(パターン別の特徴・敷地条件との相性)

吹抜型・平屋型・2階リビング型・中庭併設型の間取りパターンは、必要な敷地面積・向いている立地・検討すべき注意点がそれぞれ異なります。ここではパターンごとに、公式サイトに掲載された事例をもとに特徴を整理します。

吹抜型|天井方向に空間を広げる

吹抜型は、1階と2階を吹き抜けでつなぎ、天井方向の高さで開放感を作る間取りパターンです。2階建て以上の設計で採用でき、床面積そのものを大きく取れない敷地でも、縦方向の空間演出で大空間の印象を作れる点が特徴です。

三井ホームの施工事例では、吹き抜けを通して1階と2階がつながる約30畳の開放的なLDKを実現し、家のどこにいても家族の気配が感じられる設計が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※1。積水ハウスの静岡県の事例では、6m×11mの勾配天井の大きな吹き抜けと4寸勾配の大屋根を組み合わせ、1階をパブリック、2階をプライベートスペースとするゾーニングが公式サイトの建築実例ページに掲載されています※2。住友林業の社員邸事例でも、吹き抜けの大空間と高窓・十字窓を組み合わせ、光を採り込みながら外部の視線を気にしない設計が公式サイトの建築実例ページに掲載されています※3。

吹抜型は、WHALE HOUSEの神戸市の事例のように、ビルトインガレージを備える3階建て住宅でも縦方向の光の抜けを作れます。床面積を大きく取りにくい敷地で選ばれることがありますが、敷地条件との相性は個別の設計によって変わります。一方で、大空間住宅の定義・注意点の解説ページで整理したとおり、対策をしない場合は暖気が上部にたまりやすく光熱費が増える可能性が各社の解説で指摘されている点(実際の光熱費は吹抜の有無だけでなく外皮性能・窓・日射・換気・設備によって変わります)、間仕切り壁や耐力壁の配置を絞る場合は構造の検討事項が増えやすい点(構造安全性の確認方法や必要な検討内容は規模・構法・設計条件によって決まります)は、吹抜型を検討する際に確認しておきたい事項です。

平屋型|ワンフロアに床を集約する

平屋型は、建物全体を1フロアに集約し、階段や上下階の仕切りをなくして仕切りのないワンルームLDKを作る間取りパターンです。2階建てのように床面積を上下に分割しないため、同じ延床面積であれば2階建てより広い敷地面積が必要になりやすい傾向があります。

ダイワハウスの実例訪問ページで紹介されている平屋の事例では、5寸勾配の切妻屋根を活かした最大天井高5m20cmの勾配天井と最大開口幅4m80cmの大開口を組み合わせたリビングが公式サイトの実例訪問ページに掲載されています※4。一条工務店の北海道の事例では、38帖のLDKを平屋商品「グラン・スマート」で実現し、全館床暖房と広い動線を組み合わせた設計が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※5。ミサワホームの岡山県の事例でも、約3mの天井高を活かした大開口の窓一面に景色が広がるLDKを中心に、LDK・寝室・水回りをひとつながりにしたシンプルな平屋の間取りが公式サイトの事例ページに掲載されています※6。

平屋型は広めの敷地で採用されることが多い一方、都市部でも計画されています。ホームアンドニコ(掲載7社以外)の江南市の事例のように建築面積30坪台でも大空間LDKを実現した例が公式サイトの事例ページに掲載されています※7。一方で、平屋は屋根面積が2階建てより大きくなりやすく、断熱・防水の仕様や、隣家との距離が近い敷地でのプライバシー確保の工夫を、間取り検討の段階であわせて確認する必要があります。

2階リビング型|敷地条件が限られる場合の上下ゾーニング

2階リビング型は、リビング・ダイニングを2階に配置し、1階を寝室や水回りなどの落ち着いた空間、2階を大空間LDKとする上下ゾーニングの間取りパターンです。狭小地・変形地・北道路など、1階の採光や視線の抜けが確保しにくい敷地でも、2階に大空間LDKを配置することで開放感を得やすい点が特徴です。

WHALE HOUSEの西宮市の事例では、2階LDK・中庭・大開口を組み合わせ、限られた敷地条件でも空とつながる開放感を確保する設計が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※8。1階に落ち着き、2階に開放感を配置する上下ゾーニングの提案は、狭小地・変形地でSE構法の設計自由度が活きる例として参考になります。三建の姫路市の事例では、2階リビングで眺望を活かした設計が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※9。一条工務店の大阪府の3階建て事例でも、限られた敷地面積の中で2階リビングに吹抜けを配置し、玄関にも吹抜けを設けることで開放感を確保した設計が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※10。

2階リビング型は、都市部の狭小地・3階建てとの相性が良い一方で、日常の生活動線が1階から2階へ上がる形になるため、水回りの配置や高齢期の暮らしを見据えた昇降動線を、間取り検討の初期段階で確認しておくことが実務上重要になります。

中庭併設型|外部空間と組み合わせて開放感をつくる

中庭併設型は、LDKに面して中庭を設け、建物の内側に光と風の通り道を作ることで、隣家の視線を気にせず開放感を確保する間取りパターンです。周囲を建物や道路に囲まれた敷地、プライバシーを重視したい敷地との相性が良い点が特徴です。

WHALE HOUSEの姫路市の事例では、吹抜LDK・スケルトン階段・中庭を組み合わせた設計で、外部の光と内部の連続空間を橋渡しする構成が公式サイトの施工事例ページに掲載されています※11。同ページによれば、この物件はJapan Housing Quality Award 2024(主催:株式会社NEXT STAGE、2024年4月〜2025年3月の評価期間、2025年5月表彰式)で建物部門最優秀賞を、LIXILメンバーズコンテスト2025(LIXILが事務局を務めるGood Living友の会加盟工務店向けコンテスト、2026年3月表彰式)で空間デザイン賞・グッドリビング賞を受賞しています※11。同社の公式事例ページにはSE構法のタグが付されていますが、中庭と大空間LDKの両立がSE構法によって実現したという因果関係までは公式サイトでは確認できません。2階リビング型の項で紹介した西宮市の事例も、2階LDKと中庭を組み合わせることで、限られた敷地でも空とのつながりを確保する設計であり、中庭併設型と2階リビング型を組み合わせた例といえます。

中庭併設型は、LDKに面する窓を増やし外部からの視線を気にせず採光を取り込みやすい点がメリットとして紹介されています(通風が確保できるかは中庭の形状・開口位置・周辺環境によります)。一方で、同じ敷地でも中庭を設ける分だけ建物にあてられる面積が小さくなることや、外壁面・開口部が増えることで建築コストや断熱性能への影響が生じうる点は、間取り検討時に確認すべき事項として整理できます。

間取りパターン別に見る特徴と敷地条件の整理(各社公式サイトの事例に基づく。掲載7社以外の会社の事例を含みます)
パターン広げる方向向いている敷地条件公式事例(企業)
吹抜型天井方向(縦)床面積を大きく取りにくい敷地三井ホーム/積水ハウス/住友林業/WHALE HOUSE
平屋型ワンフロア(面)広めの敷地(都市部でも計画されています)ダイワハウス※/一条工務店/ミサワホーム※/ホームアンドニコ※
2階リビング型階の配置(上下)狭小地・変形地・北道路など1階の採光が限られる敷地WHALE HOUSE/三建※/一条工務店
中庭併設型外部空間との連結周囲を建物・道路に囲まれプライバシー確保が課題の敷地WHALE HOUSE

※印は本メディアの掲載7社ではない会社です。間取りの傾向を示すために公式事例を参照しています。

よくある誤解

間取りの誤解として広く見られるのは、「パターンはどれか1つを選ぶもの」「平屋にすれば必ず大空間になる」の2点です。実際にはどちらも正確ではありません。

誤解1:4パターンはどれか1つを選ぶものである

本ページで整理した吹抜型・平屋型・2階リビング型・中庭併設型は、互いに排他的な選択肢ではありません(この4分類自体、業界共通の分類ではなく本メディアの整理です)。先に紹介した西宮市の事例(2階LDK+中庭)のように、2階リビング型と中庭併設型を組み合わせる、あるいは吹抜型と勾配天井を組み合わせるなど、実際の間取りでは複数のパターンが同時に採用されることが一般的です。どのパターンを主軸にするかは、敷地条件と工法の組み合わせで決まる点に注意が必要です。

誤解2:平屋にすれば必ず大空間LDKになる

平屋型は、建物をワンフロアに集約する手法であり、それ自体が自動的に30畳超の大空間LDKを作るわけではありません。仕切りを減らした間取り設計と、それを支える工法(SE構法・BF構法・鉄骨造など)の選択が組み合わさって初めて大空間LDKが実現します。平屋であっても、耐力壁の配置制約が大きい構法では、大きな吹き抜けや仕切りのないワンルームLDKの実現が難しくなる場合がある点は、業界の解説記事でも指摘されています。

よくある質問(FAQ)

間取りパターンについて、よくある質問をまとめました。

間取りパターンにはどのような種類がありますか?

本メディアでは各社の公式事例を横断して、吹抜を組み合わせて縦方向に広げる吹抜型、ワンフロアで仕切りをなくす平屋型、リビングを2階に配置する2階リビング型、中庭と組み合わせて採光と開放感を両立する中庭併設型の4パターンに大別できます。

狭小地や変形地でも大空間LDKは実現できますか?

敷地条件が限られる場合は、1階を落ち着いた空間、2階を大空間LDKとする上下ゾーニングの2階リビング型が候補になり、WHALE HOUSEの西宮市の事例では中庭と組み合わせて限られた敷地でも開放感を確保した設計が公式サイトに掲載されています。

平屋の大空間LDKにはどのような敷地条件が向いていますか?

平屋でワンルーム型の大空間LDKを作る場合、建物1棟分の床面積を1フロアに収めるため、2階建てと比べて広い敷地面積が必要になる傾向があります。ダイワハウスや一条工務店の公式事例では、勾配天井や高天井とあわせて30畳台のLDKを平屋で実現する例が掲載されています。

中庭を併設する間取りのメリットと注意点は何ですか?

中庭はLDKに面する窓を増やし、隣家の視線を気にせず採光を取り込みやすい点がメリットとして紹介されています(通風の確保は中庭の形状・開口位置・周辺環境によります)。一方で同じ敷地でも中庭を設ける分だけ建物にあてられる面積が小さくなる、外壁面が増えて建築コストに影響しうる点は、間取り検討時に確認すべき事項として整理できます。